どうもデザてくです。
今回は、学校の授業では習わないけど放射線技師にとってものすごーく大切な
「移乗」
についてお話しします。
移乗とは、
乗ってきた車椅子などから他のに移動すること
です。
車椅子やストレッチャーでCTの検査にくる患者さんは必ず移乗があります。
その際に万が一でも患者さんが転んで怪我をしてしまうことがあってはいけませんし
体に負担のかかる誤った移乗の仕方は自分自身の体を痛めてしまう原因にもなります(技師の腰痛持ちは多いです!)
移乗は日常の業務の中でとても重要な行為にもかかわらず、残念ながら放射線技師できちんと方法を理解している人は少ないです。
当院は過去に毎年5、6件の頻度で検査室内の転倒転落のインシデントが発生していましたが、
理学療法士さんを交え移乗の勉強会を行なったことで、転倒転落0が何年も続いています。
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自然な動きを意識する
人は移動する時、必ず「重心」も移動してバランスをとっています。
これは人が成長する上で、合理的で苦痛のない「自然な動き」を身につけているからです。
それに従い、介助する側・される側が「自然な動き」ができるように介助することがポイントです。
介助のポイント
重心を低くする
本人にできる限り接近する
本人の身体を小さくまとめる
無理に体を捻らない
ポイントを抑え自然な動きを心がけましょう。
車椅子から寝台への移乗
車椅子からCTの寝台や一般撮影の臥位ブッキー台への移乗は、頻度的に最も多く遭遇するシチュエーションです。
その分、無理な介助のやり方を続けていると自分の腰がやられてしまします。
あるコツを知っているだけで、必要な力が少なくなりスムーズで患者さんも自分たちも楽な移乗が可能になります。
麻痺側からは移乗しない
麻痺側から移乗しない!これは絶対です。
移乗する際に軸となるのは寝台に近い側の手足です。
この軸に力が入らないとても危険なので、移乗の際は必ず患者さんの健側(麻痺がない側)から移乗させてください。
健側の手を寝台につけて移乗をさせることで、現有能力を活用しながらより安全に移動することができます。
反対に車椅子へ戻る際は、最初と逆側からになるので注意しましょう
車椅子は寝台に並行 or 20〜30度の角度で
車椅子は寝台と臀部の距離を短くするために、ベッドに対して並行もしくは20〜30度の角度で設置しましょう。
搬送してくれた新人看護師さんが、
たまーに車椅子を寝台に対し直角にロックしたりすることがあるので、その際はスマートに修正しましょう( ´ ▽ ` )b
車椅子に備わる機能を理解する
車椅子は実はいくつかの種類があります。
アームサポート(肘掛)が外せたり跳ね上げ式であれば、本人のお尻の導線を短くすることができます。
本人にとっても介助者にとっても安全で安心な移乗ができるので、車椅子の使い方も覚えておきましょう。
相手にどう動いてほしいかをイメージさせる
患者さん本人にどのように動いてほしいかを伝えることも大事です。
車椅子から右側の寝台へ移乗する際は、
患者さんに「右手をついて、こう動きますね」
と言いながら実際に手を取って寝台につけてあげることで、動きを相手にイメージしてもらうと移乗がスムーズになります。
ストレッチャーやベッドから寝台への移乗
ERや病棟の特に介助が必要な患者さんはストレッチャーからの移乗になります。
スライダーを利用する
この場合に最も大事なことは、道具を活用することです。
その道具はスライダーと言ったりします(「ラクラックス」が有名です)
どこの病院にも置いてあるとは思いますが、職場によってはほとんど使われていません!
私が以前勤めていた病院では、スタッフは靴を脱いでCTの寝台に上り、患者さんにタオルを敷いて左右から抱えて持ち上げて移動するのが当たり前でしたが、それは非常に危険で移乗に加わったスタッフが足を滑らせ寝台から腰から落下し、圧迫骨折になってしまった事故があります。
ルート抜去をなくす移乗の仕方
ストレッチャーからの移乗の際に最も起こりやすいのがルートの引き抜けです。
よくあるのは、スライダーにルートが敷き込まれたり、自分の体でルートを押さえてしまい患者さんをスライドした際に抜けてしまうというパターンです。
これを防ぐ移乗の仕方が、「2段階に分けて移乗する」という方法です。
患者さんを一気に寝台へスライドするのではなく、一旦半分で止めて安全を確認してからもう半分スライドするという方法です。
この方法を行なってからはルートの引き抜けは激減しました。
最後に
以上が転倒転落インシデント0の病院が行なっている取り組みです。
これ以外にも実際に教えてもらわなければ知らなかったり、気づかなかったことはたくさんあるので、
定期的に勉強会を開催し、問題点をシェアして皆で対策を考えていくとさらに勉強になります。
皆さんも移乗の際に、患者さんにとって そして自分にとっても合理的で苦痛のない「自然な動き」を見つけていってください。
最後までご覧いただきありがとうございました。